味覚・嗅覚デバイス開発

味覚・嗅覚デバイス開発




当研究室では、五感の研究を行っています。
その中でも集中して研究しているのが、味覚と嗅覚についてです。

元々は、VR映像に味や香りをつけたら面白いのでは?ということで始まった研究です。
VRやすでに世の中にあるコンテンツは、目や耳への刺激がほとんどで、鼻や舌を刺激するものは少ないです。というのも、味や香りを提示するデバイス開発が進んでいないことや個人ごとや環境によって感じ方が普遍的でないことがネックになっているからです。

そこで、研究室ではそういったデバイスの開発を行うとともに、人が味や香りをどのように感じているかの基礎的な研究を行っています。

味覚


嗅覚ディスプレイ


噴霧イメージ図


ピエゾ振動子という電圧をかけると振動する小さな板を使い、霧状に射出するという提示方法を採用しています。

味の研究は食品会社を中心に進められていますが、正確な味覚の検査はあまり行われていません。以前から使われている提示方法は、『液体に浸したろ紙を舌の上にのせるもの(ろ紙ディスク法)』『マイクロピペットで液体を舌に垂らすもの(滴下法)』があります。

この方法では、味覚溶液をどのくらい舌に提示したのかがわからないのが難点です。
(例えば、溶液の量によって感じ方が異なるかもしれない)

そこで、このピエゾ振動子を使った提示方法です。
これならどのくらい噴射したのかを設定できるため、そういった難点をクリアしています。

またこの方法が従来の提示方法と差がないか調べたところ、差がでないことがわかりました。そのため、新しい提示方法として認められました。

現在、このディスプレイを用いた実験を行っています。
甘み・苦味・酸味・渋み・旨味 の五つの味を使い、提示順番と濃度を変更することで味の感じ方がどのように変化するのかを調べています。

課題 → 追加部分

嗅覚


FragranceJet Vib(左図)
FragranceJet for MedicalCheck(右図)



嗅覚デバイスは複数あり、現在使用しているものがインクジェットプリンタ構造で、開発中なのが上記のピエゾ振動子構造のものになります。


インクジェットプリンタ構造



カードリッジ(左図)
タンク(右図)


慶応義塾大学と合同で開発したFeagranceJetシリーズはこの構造を起用しています。
注射器で香料をタンクに充填し、セットし射出します。

カードリッジには長い溝が1つ、短い溝が3つあり、長い溝には0-255の穴が、短い溝には0-128の穴が開いています。この開く穴の数を調整することによって濃度を変更することが可能で、嗅覚を数値化することができます。

また微小な穴のため、微量での射出が可能です。
気化しやすい香料の残り香を軽減する役割を担っており、連続して射出しても香料単体の嗅覚評価を得ることができます。これによって、実験時間の短縮を行うことができています。

デメリットとして、小さな穴のため詰まりやすいといったことが挙げられます。
またカードリッジも生産が中止されているため、洗浄方法を試すといったことができないという背景から、詰まった際の手順が確立できていません。

また機械自体に香りが染みついてしまい、起動するとすでにニオイがついた風が出ているといった状態になっており、残り香は気にしなくてもいいけども……となっています。
同様に替えが効かないので、洗浄がしにくいことやアルコールで拭いても匂いが取れないという現状です。

ピエゾ振動子構造



(タンクの画像)


味覚デバイスでも使っているピエゾ振動子を使って射出する構造です。
ピエゾ振動子は電圧をかけると振動する圧電素子と呼ばれるもので、その振動数を変えることによって濃度を変更しています。

インクジェットプリンタ構造では『洗えない』『機械にニオイがついている』というデメリットがありました。

この構造ではこのデメリットを取り除いたものとして、開発を行っています。


FragranceJet Vib


メリットは同様のものを目指しています。
現状、ピエゾ振動子構造によってデメリットは解消されているものの、射出部分(タンク下部)に液滴がつくといった問題が発生しています。(精製水では液滴が付かないが、香料によって液滴の量が異なる実験結果)

味覚デバイスではそういったことが起こらなかったことから、分子の大きさの問題や香料の問題なのではないか?ということで実験を繰り返し行っています。


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